第二部 目的と成果のマネジメント 第7章 目的がぶれると人は迷う ─ チームを迷わせない旗の立て方

目的と成果のマネジメント

作業は進んでいるのに成果が見えない

リーダーになる前、私は「作業を進めること」が仕事だと思っていた。
与えられた仕事を予定通りにこなす。予定より早ければ「頑張った」、遅れれば「すみません」。
そういう感覚が、当時の私にとって“仕事”の全てだった。

しかし、管理職になりチームに指示を出す立場になって気づいた。
作業は順調でも、これで成果が出ているのか説明できない――。

チームを一つにするための旗

組織には目的=存在理由がある。
売上目標やKPIのその先に、社会に対してどんな価値を提供したいのか。
なぜこの事業があり、このチームがあるのか。

それをリーダーが語れなければ、チームの力を一つにできない。
何が大事かが見えないから迷うのだ。
「これは目的にかなうか」「目的に照らして今やるべきことは何か」──その問いを中心に据えなければ、日々の忙しさに流されてしまう。

だからこそリーダーは、“旗”を立てなければならない。
「うちのチームは、こういう理由で存在している」
「そのために、これをやろう」
そう語ることができれば、判断にも指示にも一貫性が生まれる。
目的がぶれると人は迷う。だから、旗を立てること自体がリーダーの第一の仕事だ。

目的を語れるリーダーになる

私が課長になりたての頃、新任の部長に言われた一言が忘れられない。
「それ、なんのためにやってるの? 必要なければ、やらなくていいんじゃないの?」

当たり前のようにやっていたことの目的を答えられなかった――。
この経験から、まず大事なのは 自分自身が業務の意義を把握し、自分の言葉で語れること だと痛感した。

目的を浸透させる習慣づけ

次に必要なのは、判断や指示のたびに目的へ立ち返ること。
「なぜこれをやるのか」「これはどんな価値につながるのか」を言葉にして伝える習慣だ。

さらに、部下の行動や提案を目的との関係で承認することが効果的だ。
「それ、まさにうちのチームが目指してることだよね」
「その視点、チーム全体の目的から見ても意味がある」

こうしたフィードバックが「目的を軸に考える文化」を育てる。

生きた旗を立てる

日々の判断や行動に影響を与えてこそ、“生きた旗”になる。
リーダーが目的に向き合い、自分の言葉で語り、判断を通じて浸透させる。
それが、チームをぶらさず前に進める最も基本的で大切な仕事の一つだ。

読者への問いかけ

①チームの「旗」(目的・存在理由)を、自分の言葉で語れるか。
②日々の判断や指示に、その旗との一貫性があるか。
③業務や会議で「これは目的にかなうか」を問いかけているか。
④部下の行動を「目的とのつながり」で承認・評価しているか。
⑤部下が旗を判断基準として使える状態になっているか。

次章予告

次章では、挑戦心を引き出す目標の立て方について見ていきましょう。

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