計画通りに進まないのが現実
計画を立て、リズムを整え、節目で確認する。理想的な目標管理のプロセスだ。
だが現実は、そう簡単には進まない。相手のある業務や不確定要素の多いプロジェクトでは、スケジュールどおりにいく方が珍しい。
そういうとき、リーダーの焦りはチームに伝染する。
「遅れてるぞ、どうするんだ」
「もういい、こっちでやる」
そんな言葉が飛び出す前に、チームで確認すべきことがある。
それは 「何が変わったか」「何が思惑と違っていたか」 である。
柔軟に計画を再設計する
うまくいっていないということは、状況が変化しているということだ。
それを無視して当初の計画をなぞろうとしても、うまくいくはずがない。
むしろ、そこで見えてきた現実を取り込んで再設計することこそ、リーダーの柔軟さが問われる場面なのだ。
私がよくやるのは、チームで集まって「何が予定と違っていたか」を一緒に棚卸しすることだ。
誰かを責めるのではなく、情報と現状を確認する。目的はただひとつ、「このあと、どう進むか」 を一緒に決め直すことである。
計画変更は失敗ではない
リーダーは、変更を恐れてはいけない。むしろ、変更できるかどうかにチームの成熟度が現れる。
「計画が変わった＝失敗」ではない。計画を現実に適応させていける力が、成果を引き寄せる。
ただし、ここにもひとつ注意がある。何度も方向が変わると、現場は混乱する。
だからこそ、「変更の理由」と「新しい目安」 を明確にすることが大切だ。
軌道修正は、ぶれではなく調整だということを、チームに共有しなければならない。
リーダーの役割
目的に向かう道はひとつではない。
リーダーの役割は、たとえ最初の道筋から外れても、どの道を行けばたどり着けるかを探し続けることなのだ。
読者への問い
- 計画が遅れたとき、「何が変わったか」を冷静に分析しているか。
- 状況変化を取り込んで再設計する姿勢をチームに示しているか。
- 「変更＝失敗」とせず、柔軟に調整できる文化を持っているか。
- 変更時には「理由」と「新しい目安」を明確に伝えているか。
- 焦りよりも現実対応を優先する冷静なリーダー像を保てているか。
次章予告
次章は計画修正において大事なたった一つのことを取り上げます。
