「伝えたのに伝わってない」場面
仕事を進めているとき、「あれ、これって伝わってなかったの?」という経験は誰にでもあるだろう。
言葉は確かに発したのに、相手の行動が想定と違っている。そんなすれ違いがなぜ起きるのか。
問題の根っこは前提の共有不足
多くの場合、「言い方が悪かった」「言葉が足りなかった」という以前に、土台となる前提の共有がなされていないことが原因だ。
たとえば「この資料、まとめておいて」と頼んだとする。
しかし、その資料が何のために、誰に向けて、どう使われるのかがわからなければ、相手は自分なりに解釈して動くしかない。結果として仕上がりはズレてしまう。
つまり、「伝えたのに伝わっていない」のではなく、前提が共有されていないまま、言葉だけが飛び交っている状態になっているのだ。
背景があって初めて意味が生まれる
第36章でも触れたように、仕事を任せるときは目的を共有することが大切だ。組織は本来、共通の目的のもとに動く集団である。
- なぜそれをやるのか
- この仕事は全体の中でどこに位置づけられるのか
- なぜ今それが必要なのか
こうした文脈があって初めて、個々のタスクに意味が出てくる。そして意味が共有されてこそ、人は納得して動けるのだ。
背景共有は後々の投資
だから私は、仕事を任せるとき「何をしてほしいか」だけでなく、背景情報をセットで伝えるようにしている。もちろん、時間がないときはつい省略したくなるが、背景を共有することは後々のすれ違いを防ぐ投資でもある。
「伝える」とは単に情報を渡すことではない。前提を含めて共有することなのだ。
リーダーにとってそれは、話し方のテクニック以前に、前提の整理と開示の問題だと思う。
読者への問い
- 最近「伝えたはずなのにズレた」仕事はありましたか?
- そのとき、「目的」や「背景」まで共有していましたか?
- 指示を出す際、「何を」より先に「なぜ」を伝えていますか?
- 時間がないときほど、背景説明を省いていませんか?
- あなたの指示は、相手が自分で判断できる情報量になっていますか?
次章予告
👉 コラムをはさんで、次章では「きちんと伝えるための勘所」を考えてみたい。
