冷静に考える力
リーダーに求められる力のひとつは、冷静に考えることだ。
決断の前には、感情や先入観に流されず、自分の頭で整理する必要がある。
では具体的に、どう考えるべきか。
情報の正確さが判断の質を決める
まず、できる限り正確な情報を集めることだ。事実関係、数値データ、関連する法令や社内ルールなど、根拠となる材料が多く、信頼できるものであるほど、判断の質は高くなる。
逆に、不完全な情報や誰かの主観だけをもとに決めてしまうと、判断がブレてしまう。
部下の報告に潜む思い込み
実際、部下から上がってくる報告や相談には、感情や思い込みが混じっていることが多い。
「みんな不満を言っています」と言われても、実際には数人だけということもよくある。悪気があるわけではなく、それが自然なのだが、リーダーはそこに飲み込まれてはいけない。
さらにやっかいなのは、「面倒ごとを避けたい」という気持ちから、部下が都合の良い情報だけを上げてくるケースだ。私自身、若いころにこの失敗をしたことがある。上司に都合のよい部分だけを報告していたら、すぐに見抜かれて「やりなおし」となった。
一次情報に近づく姿勢
だからこそリーダーは、自分の目で確かめ、できる限り一次情報に近づく姿勢が必要になる。
もっとも、すべての情報を自分で調べることは現実的ではない。そこで、優先順位をつける。組織の方針や業績に直結する判断、後々への影響が想定される判断に関しては、自分で一次情報を押さえる。一方、細部や軽微な事柄は、部下の報告を信頼して任せる。
部下の提示したエビデンスに疑義があれば、さらに裏を取る。「〇%を占めています」と言われても、「その分母は何?」と聞いてみると意外と曖昧だったりするものだ。
かつての私の上司がそうであったように、決断にあたって案の疑問点に気づき、しっかり指摘するのはリーダーの役割であり、腕の見せどころである。
感情を消すのではなく、区別する
リーダーが冷静に考えるとは、感情を消し去ることではない。
「感情や思い込み」と「事実」とを区別して扱うことだ。この「感情と事実の分離」というのはリーダーにとって非常に重要なキーワードなので、ぜひ大きな文字で紙に書いて壁に貼っておいてほしい。
その姿勢こそが、決断の質を支えていくのだ。
読者への問い
- 判断に感情や先入観を持ち込まずに決められましたか?
- 事実に基づく一次情報を確認しましたか?
- 部下からの報告を鵜呑みにせず、必要に応じて裏を取りましたか?
- 判断の優先順位を意識して行動できましたか?
- 過去の失敗を振り返り、感情に流されない工夫をしていますか?
次章予告
次章では、決断を下す際に欠かせない「上司の意図を読み解く」力について考えます。

