任せる姿勢と自ら動く判断
事業を進めるにあたっては、基本的に仕事は部下に任せる――これは第4部を通じて一貫して述べてきたリーダーの姿勢だ。
しかし一方で、「これは自分が前に出るべきだ」と判断し、リーダーが自ら動くべき場面もある。
外部対応はリーダーの役割
たとえば、外部のステークホルダーとの交渉。
他社や行政、関係団体とのやりとりにおいては、その重みや微妙な力関係から、部下任せでは済まされないことがある。
自分で出向き、自分の言葉で伝えることが、信頼を築く上で欠かせない。
とりわけ最初の一歩、初動の対応はリーダー自身が担うことで、全体の信頼感や空気が大きく変わってくる。
社内調整の最終責任
あるいは、他部局との調整や、社内のややこしい利害調整が必要なケース。
ここでも「どう話をつけるか」「どこに落としどころを見いだすか」は、リーダーの責任範囲にある。
もちろん、部下の育成という観点から、ある程度までは任せて経験を積ませることも重要だ。
だが、最後の詰めや、突破口を開く場面では、やはりリーダーが表に立つ必要がある。
尊敬する上司の手本
第33章で触れた、私が尊敬するある上司は、この切り分けが実に見事だった。
普段は部下にどんどん任せる一方で、ここぞという局面では迷わず自ら動く。
その手際の良さが、組織としての信用にもつながっていた。
リーダーが動く意味
リーダーが自ら動くことには、二つの意味がある。
- 仕事を前に進めるという実務的な目的
- 「ここは自分が動く場面だ」とチームに示し、全体にとっての優先順位や意味づけを明確にする役割
任せることと、引き受けること。
この二つを状況に応じて正しく使い分ける――それこそが、リーダーに求められる力である。
読者への問い
- 外部交渉や重要調整を安易に部下任せにしていないか
- 初動や山場で、自分が前に出る判断ができているか
- 自分が動く意味をチームに示せているか
- 育成と成果のバランスを考えて動いているか
- 「ここは自分の仕事」と引き受ける覚悟があるか
次章予告
次章でも、引き続き、リーダーが自ら動く場面について掘り下げます。
