前章(第65章)では、上司をステークホルダーとして戦略的に捉える視点を整理した。本章ではその視点を、日々の意思疎通の場面に落とし込んでいきたい。
ここから数章、直属の上司、課長にとっては部長との関係を取り上げていく。
他のブログ記事(第63章)で職場には「人間的に合わない人もいる」と書いたが、たとえ合わない上司であっても、上司に話を通さないと仕事が進まない。
そこで大切なのが、どう伝えるか、どんな姿勢で向き合うか、といった日々の行動を「型」として持つことである。相性が微妙でも伝え方次第で最低限の信頼は築ける、というか、課長の仕事の柱の一つが「いかに部長を味方につけるか」だと言っていい。
逆に気が合う上司でも意思疎通を怠れば距離が生まれる。リーダーの“伝え方”がチームの前進を左右する。
基本は「上司が判断しやすい」設計
基本は報告・連絡・相談である。ここでは「上司から見て判断しやすくなるように設計する」ことを意識したい。
要点を簡潔にまとめ、形としては、結論ファーストで伝えることが必要だ。このあたりは、第57章、第58章とも関連しているところだ。
そして大切なのは「判断基準」を「判断材料」とともに示すこと。上司は「判断基準」と「判断材料」が欲しいものなのだ。だからそれを示してくれる課長を求めている。
上司の価値観を読み取り、通る言い方をする
さらに一歩進めるなら、第24章、第25章でも書いていることだが、上司の価値観や判断軸を理解し、それに合わせた切り口で提案や相談を行うことが効果的である。
数字を重視するのか、スピードか、安全性か――。
“こだわりポイント”を見極め、通る言い方を工夫する。チームの目的を達成するために、通る言い方を考えることこそリーダーの役割だ。これは迎合することとは違う。上司の意図を理解し、自分の動きを調整することであり、これが結果的にチームの成果につながっていく。
遠慮せず、自ら働きかける
そして何よりやりがちな誤りは上司への報告・連絡・相談を「上司が忙しそうだから落ち着いてから」と遠慮してしまうことだ。これもすでに第14章で書いたところだが、私自身もかつてこれで報告が遅れ、信頼を損ねた経験がある。報告は義務であると同時に、信頼を得るための重要な行動だ。
具体的には、自ら「少しお時間いただけますか」と働きかける姿勢を持とう。「今手が離せないので後にしてくれる」と言われてもいい。「アレってどうなってる?」とか「オレは聞いてない。」と言われるよりよほど増しなのだ。
読者への問い
あなたは報告を遠慮したことで、信頼を損ねた経験はありませんか。
次章予告
次章では、「上司もまた人間である」という視点から、感情やクセのある上司とのつき合い方を扱う。
