第十一部 持続可能なチームを作る 第118章 働き方改革

持続可能なチーム

時間外勤務をさせるな。休日出勤をさせるな。育児休業を取らせろ、当然男性もとらせろ。その一方で、人手不足は解消しない。育児休業者の代替要員を募集しても応募は少なく、来ても仕事を教える分負担が増える。

働き方改革が叫ばれる中、多くの職場では、時間外勤務がつかない中間管理職が業務を引き受けているのではないだろうか。つまり、課長がプレーイングマネージャーになっている。マネジメント、例えば1on1ミーティングの時間を取れば、その分プレーイング部分が遅れる。部下には「定時で帰れ」と言いながら、自分は残業で仕事を片付ける。しかも残業代が出るわけでもない。こうして「働き方改革」が、課長にとっては「働き方改悪」になってしまう。では、どうするか。

まず見える化し、目標時間を決める

第一歩は、現状の定量的把握だ。一日の業務を振り返り、管理・マネジメントと現場作業の割合を見える化する。そのうえで、課長がマネジメントにかける「目標時間」を設定し、できる限りその時間を死守する。そのために、仕組みそのものをスリム化していく。

  • 不要な会議は思い切ってやめる。必要な会議もTeamsやZoomに切り替え、移動・準備の時間を削減する。ただし、私は、ここぞというときの説得・交渉や部下の健康状態の確認などは直接面談に勝るものはないと考えている、と強調しておく。
  • 社内連絡は電話よりもチャットツールを活用する。
  • 回覧や承認は、可能な限りクラウドワークフローに移行する。
  • 「なんとなく作っていた報告書」「惰性で続けていた書類作成」は棚卸しし、やめられるものはやめる。
  • AIで合理化できる事務作業は無いか、常に考える。

削りすぎたら、形を変えて戻す

ただし、削れば済むわけではない。私の職場では、会議中に来客対応でメンバーが中座することが多く、係長の判断で定例会議をやめたことがある。ところが、部下から「意見を述べる機会が失われた」という声が上がった。会議は意思決定の場であると同時に、部下が声を上げる場でもあったのだ。そこで係長に指示し、定例会を復活させた。ただし、資料を事前に共有するなど、時間をかけない形に改めた。現場では、こうした試行錯誤がどうしても発生する。

削った余白に、仕事を任せる

こうして削った時間は、課長だけでなく部下にも余白を生む。その余白に、これまで課長が抱えていたプレーイングの仕事を任せていく。部下に時間外勤務をさせられない以上、仕事を渡すには、先に部下の時間を空けておく必要があるのだ。

こうした改善は、どれも大改革ではなく「現場発の小さな工夫」だ。課長自身が、自分のチームの状況に合わせて仕組みを削ぎ落とし、時間をマネジメントに振り向ける工夫を重ねていくことが欠かせない。それは「自分を守る工夫」であると同時に、チームの持続力を高めるための課長の仕事でもあるのだ。

次章予告

次章では、ここに書いたことはもうやりつくした、それでも回らない、という課長に向けて書く。

読者への問い

あなたのチームにおいて、課長が「プレーイング」に偏っていませんか?

タイトルとURLをコピーしました