Z世代とはどんな世代か
近年よく耳にする「Z世代」。1990年代後半から2010年頃までに生まれた世代を指すことが多い。
インターネットやスマートフォンが当たり前の環境で育ち、多様性や個人の価値観を尊重する姿勢が強いと言われる。
もっとも、世代という括りはあくまで便宜的なラベルにすぎない。個人差の方がはるかに大きい。それでも、一定の傾向として理解しておくことには意味がある。
上の世代が「とにかくやれ」「空気を読め」と言われてきたのに対し、Z世代は「納得してから動く」「理由がわかれば協力する」といういわば理屈を重視する時代に社会人となった人たち、と私は認識している。この違いは、特に職場のコミュニケーションに影響する。
特別扱いは必要ない
とはいえ、私自身はZ世代に特別な対応が必要だとは思っていない。
必要なのは“特別扱い”ではなく、“基本の徹底”である。
これまでこの第5部で取り上げてきた原則――背景を伝える、未来志向で語る、まず聴く――それを丁寧に実践すれば、自然に通じる。
世代が違うから難しいのではない。
基本を省略してきたときに、摩擦が可視化されるだけだ。
指示を出すときは「背景」を伝える
納得感を重視する相手には「なぜそれをやるのか」を共有することが重要である。
今でも「とりあえずやってみろ」は通じないわけではない。ただ、説明を省くとその分デメリットとして、全く的外れな処理や提案になって、手戻りが発生したりする恐れが高まるという話はすでに書いてきたとおりだ。
背景を伝えることは、甘やかすことではない。
苦言を呈するときは未来に焦点を当てる
「これまで何をしてきたか」を責め立てるよりも、「これからどうするか」を一緒に考える方が前向きに受け止められる。
過去を材料にしてもよいが、目的は評価ではなく改善である。ここを取り違えると、対話はすぐに防御の応酬になる。
まずは聴く姿勢を持つ
こちらが教える立場であっても、最初に耳を傾けることで信頼関係は築きやすい。
意見を求めながら、内心では結論を決めている――そうした姿勢は敏感に見抜かれる。
聴くことは時間がかかる。しかし、説明不足のやり直しよりははるかに効率的である。
というよりむしろ、彼らの時代を反映した感性や現代的なノウハウをこちらが学ぶ機会としよう。
ギャップよりも想像力
Z世代に限らず、誰に対しても一方的な押しつけは伝わらない。
世代間ギャップを必要以上に強調すると、「違う存在」として扱うことになる。それは理解を助けるどころか、思考停止を招く。
必要なのは分析よりも想像力だ。
目の前の相手が、どう感じ、どう受け取るかを想像する。相手の立場を想像できれば、特別な技術はいらない。
読者への問い
あなたは「Z世代」という言葉で、思考を止めていないだろうか。
ラベルを見て安心し、目の前の一人を見なくなってはいないだろうか。
特別視することは、丁寧に向き合うこととは違う。
あなたは今、世代と向き合っているのか。
それとも、一人の人間と向き合っているのか。
次章予告
次回は、年上の部下とのコミュニケーションについてコラムとして一言触れます。
