第六部 チームを代表するということ 第70章 経営層と中間管理職――見ている地平が違うから、役割も違う

チームの代表

経営層と中間管理職の違いについては、第29章「経営層と現場の板挟み」コラム「社長が変わるということは空気が変わるということだ」など、このブログでも過去触れてきた。現場の暗黙知ではあっても明示的に語られることが意外とないので、この章で改めて整理しておく。

経営層が向き合っている相手

社長、副社長・専務・常務といった役員クラスが向き合っている相手は、市場の変化、株主からの圧力、競合の動向、そして社会からの批判といった「外部環境」である。会社や組織の命運を左右する重い判断を、24時間背負い続ける立場だ。彼らの下す決定は文字通りの「経営判断」であり、見ている地平が現場とは根本的に異なる。

中間管理職が向き合っている相手

一方で、課長クラスが日々向き合っているのは、自チームの目標達成、部下の育成、他部門との調整といった現場の実務である。これは決して軽い仕事ではない。しかし、見ている範囲と背負っている責任の種類が、経営層とは本質的に異なる。

だからこそ、経営層からトップダウンの指示が降りてきたとき、現場の肌感覚や目先の作業負荷だけを理由に「それは難しいです」と結論づけてしまうのは、自らの裁量範囲を超えた判断になりかねない。かつての私がそうだったように。

違いを知るからこそ、自分の役に徹することができる

見ている地平が違い、背負っている責任の種類が違う。この構造を理解してこそ、中間管理職は「経営方針の是非を現場レベルで勝手にジャッジしない」という自分の役割に徹することができる。

経営層が外部環境と向き合いながら下した重い判断を受け止め、それを実現するための条件や制約を現場の事実として整理して提示する。それが実務責任者たる中間管理職の役目である。

経営層と中間管理職は、対立する存在ではない。見ている地平が違うからこそ、互いの役割が補い合う関係にある。

ここで私が言いたいのは、この認識を持てば「課長は余計なところで消耗しなくて済む。」ということだ。経営方針の是非をひとりで抱え込まず、自分の役割に徹することで、むしろ動きが軽くなる。分をわきまえることは、諦めではない。組織の中で確かに機能するための、実務家としての知恵なのだ。

読者への問い

あなたは経営層の判断を「理不尽だ」と感じたとき、その重さを受け止めた上で自分の役割に徹することができていますか。

次章予告

ここまでの記事についていくつか質問をいただいたので回答の形で補足していきたい。

タイトルとURLをコピーしました