第六部 チームを代表するということ 第76章 外との接点が、チームに風を入れてくれる

チームの代表

外部接点は、組織の認知を更新する装置

組織の中で仕事をしていると、どうしても視野は内向きになりがちだ。同じメンバー、同じルール、同じ前提の中で意思決定を繰り返すことで、判断基準が固定化されていく。 この状態が続くと、「それはうちでは無理だ」「昔からこうしている」といった思考停止が起こる。

これを崩す最も有効な手段のひとつが外との接点だ。顧客、取引先、関係省庁、業界団体、他社担当者とのやり取りは、単なる業務ではなく組織のシステムを更新するきっかけとなる。 リーダーは、その入力を担う“窓”の役割を持っている。

外との接点は「基準の更新」をもたらす

リーダーになると他業種の方と話をする機会も増え、他社の取り組みや外部の考え方に触れるチャンスとなる。またこういういい方は少々不遜かもしれないが直接会える人のレベルも相対的に高くなってくる。「この視点はなかった」「このやり方でも成立するのか」「こんなところに悩んでいるのか」 といった気づきや軽い驚きを感じることがある。これを自分のチームに引き寄せて考えることを一つの「型」にしたい。

外部との比較によってはじめて、自分たちが遅れているのか、進んでいるのか、何が強みなのかの判断ができるようになる。外との接点は、組織の現在地を測るための「基準の更新」につながる。

リーダーの役割は「翻訳して持ち帰ること」

外で得た情報を持ち帰ったときに重要なのは「自分たちの文脈に翻訳すること」だ。 実務レベルのコツとしては以下のように変換して投げかけることでチームに作用しやすくなる。

  • 「他社ではこうしているようですが、うちに当てはめるとどうなりますか?」
  • 「似た案件でこういう判断をしていましたが、今回に応用できますか?」
  • 「このやり方と今のやり方、どちらが合理的でしょうか?」
  • 「こんな心配をしている人がいたけど、うちではどうなっていますか?」

ポイントは、情報ではなく“問い”として渡すことだ。

外部接点は「思考の外枠」を壊す

外部との接点が少ない組織では、判断の前提が固定化される、新しい選択肢が出なくなる、意思決定の質が低下する、という劣化がゆっくりと進行する。

リーダーとしてじゃなくても、忙しい中で人と会うのは正直面倒に感じることもあるし、初対面の人と話すのは気後れすることもある。特に近年はデジタル通信技術の進展もあってそういう煩わしさをなるべく避けようとする傾向が強いような気もする。だが、人と会って話を聴く機会があったら、「これも勉強だ」と思って一歩踏み出してみよう。できるかぎり直接会うのがおすすめだ。
すぐに役に立つ話でなくても、視点が増えたり、小さな発見があったりするものだ。外の情報は、常識を疑わせ、前提を崩し、新しい選択肢を示してくれる。 思考の外枠を壊し、視野を広げ、ひいてはチームを活性化するヒントを得るチャンスなのだ。

まとめ

外との接点は、単なる業務ではなく、認知を更新し、判断基準を変え、組織の思考を揺さぶる。 リーダーの重要な役割は外で得たものを、組織の意思決定に使える形に変換することであり、単に情報を持ち帰るだけではなく、問いの形で更新を迫るのだ。

読者への問い

外部との接触で「新しい視点」や「判断基準の変化」をチームに作用させたことはありますか。

次章予告

次章では第六部全体を振り返ります。

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