第六部 チームを代表するということ 第72章 教科書通りにはいかない交渉術のリアル

チームの代表

本に載っている交渉テクニック

交渉術の本を開けば、よく名前の挙がるテクニックがいくつもある。

  • ローボール/ハイボール:最初に極端な条件を出して、実際の条件を有利に見せる。
  • グッドコップ&バッドコップ:強硬派と穏健派を演じて、譲歩を引き出す。
  • ボギィ:本当は重要でない条件を、重要そうに装って交渉材料にする。

いずれも理屈としては面白く、ネーミングもキャッチーなので覚えやすい。だが、現場に持ち込もうとするとそう簡単ではない。

信頼関係を壊すリスク

まず壁になるのが「関係性」である。社内の他部局はもちろん、取引先や協力会社、官公庁など、信頼関係を前提に中長期的にやり取りを続ける相手に対し、あからさまな駆け引きを見せれば「この人は信用できない」と映りかねない。
特にリーダーは「組織の顔」として交渉に臨むのだから、不信を招く戦術は使いにくい。

さらに、相手がそうした駆け引き慣れしていなかったりすると、交渉術が前提とする「読み合いの構図」がそもそも成立せず、こちらの意図は空回りし、かえって反発を招くこともある。

現場で効くのは準備と関係性

実際の現場では、派手な心理戦よりもはるかに重要なのは、準備と関係性の積み上げだ。
相手の立場を理解し、譲れる条件と譲れない条件を整理し、「主張・理由・事実」の三段構えで説明できるように準備しておく。これこそが最も確実で強力な交渉の武器になる。

結局、交渉を左右するのはテクニックの巧拙ではなく、信頼を土台に「相手の反応を見ながら着実に話を進める力」である。

もっとも、うちの社内には、部下に対しては常にローボール/ハイボールでグッドコップ/バッドコップな上司が結構いる。怪しい話に巻き込まれないためにテクニックを知っておいて損はない。

問い

あなたは交渉の場で、テクニックを駆使していますか。
それとも、準備と関係性を土台に「人と空気」を読んで臨んでいますか。


次章予告

次章は、その「関係性の構築」について特出しして取り上げます。

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