第八部 人事評価と部下育成 【コラム】自己評価Aの部下に、B評価を納得してもらう技術

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第92章では自己評価制度は不要だと述べましたが、すでに導入されている職場も多いでしょう。

そんなときこそ、リーダーとしての「傾聴力」や「対話力」が問われます。まさに「会話における横綱相撲」の見せどころです。

ここでは、業績評価基準が、目標超でA、目標どおりまたは迫った場合はB、そこに至らない未達の場合はC、という一般的なケースを前提にします。取り上げるのは、現場で最も頻発し、最も気まずい場面――本人はAを自己評価してきたが、実態はBというケースです。

こういうところに気を遣わねばならないだけでも自己評価制度はいかがなものかと感じているんですけどね。

まずは「根拠を聴き切る」

最初に、自己評価の根拠を尋ねます。

「自分がAだと思ったアピールポイントを教えてください」と問いかけ、本人の思いをしっかり聴き取ります。

たとえ「コイツ、ちょっと勘違いしているのでは?」と感じたとしても、途中で遮ったり反論したりせず、まずは傾聴に徹することが大切です。本人の言葉で「自分は何を成果と感じているのか」を語ってもらうことで、評価への納得感の土台が生まれます。

そしてもう一つ。聴いた結果、自分が把握していなかった事実や成果が出てくることがあります。裏が取れれば、評価を見直せばいいのです。本章で述べたとおり、見えていなかった仕事を拾う機会は、この対話の中にこそあります。傾聴は説得の準備ではなく、判断材料の最終確認だと心得てください。

「目標」という物差しに、一緒に当てる

聴き終えたら、まず本人の語った事実のうち、認められる部分を先に認めます。「その工夫は確かに効いていたね」と受け止めたうえで、こう続けます。「では、期初の目標と達成状況をもう一度比較してみよう。」と。

ここからは、本人の認識を尊重しながら、「目標」に対する「結果」と「寄与行動」を事実で整理していきます。感想と感想のぶつけ合いにせず、目標という共通の物差しの上に事実を並べる。これが本ケースの勘所です。

結果が目標どおり、または迫った水準であれば、基準に照らしてB評価です。努力と工夫を認めたうえで、Aとの差分――目標を「超える」には何が足りなかったのか――を事実に即して丁寧に説明します。そのうえで「次の評価ではどんな成果を出せばAになるか」を具体的に示し、前向きな期待を伝えましょう。本人が「悔しいが、物差しの当て方は納得できる」と感じられれば、この面談は成功です。

他のケースも、型は同じ

なお、照らし合わせた結果、申告どおり目標を超えていたと確認できた場合は、話は簡単です。感謝を伝え、A評価で問題ありません。

逆に、目標に達していなかった場合は、まず苦労をねぎらい、未達の理由と善後策を一緒に考えます。次期はチーム全体でのサポートが必要なケースもあります。そのうえで「頑張りは十分に受け止めている」と明確に伝え、特に目標に迫ったとまでは言えない場合には、基準に照らしてC評価であることを説明します。

いずれのケースでも、「聴き切る→事実を物差しに当てる→次につなぐ」という型は変わりません。

評価は「通告」ではなく「対話」

どんな評価を伝える場合でも、人格否定や感情的な言い方は厳禁です。

評価面談は”通告の場”ではなく、”対話の場”であることを意識しましょう。本人が納得して次の行動につなげられるよう、リーダー側が「聴く」「受け止める」「次につなぐ」という3つの姿勢をもって臨むことが肝要です。

このブログでは『考え方やフレームワーク』を扱っています。『明日の現場で即使えるケーススタディ』をnoteで公開しています。当ブログでこれまで語ってきた「型」や「かまえ」を実際の現場場面にあてはめた問題集として読んでいただけます。→【noteはこちら】

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