第九部 危機管理 第108章 「なんとなくまずい」は、だいたい本当にまずい

危機管理

違和感は、だいたい当たる

私は係長時代から、上司に何度も「なんで気づかないんだ?」と叱られていた。その上司はこう言っていた。

「違和感があったら、だいたい何か問題がある」

部下の表情や態度がいつもと違う。以前聞いていた話が、いつのまにか微妙に変わっている。顧客の応答に温度差が出た。数字が経験則と合わない――。

こうした些細な変化に「何かあるかもしれない」と反応できるかどうか。違和感を無視して時間が経てば、些細な芽が手の及ばない問題に育つ。現場ではよくある話だ。

拾った違和感を、落とさない

ただし、感度を上げすぎて漠然とした不安に振り回されるのも問題だ。違和感のすべてが問題に育つわけではない。空騒ぎを繰り返せば、チームは疲れ、本当のときに動かなくなる。

私が意識しているのは、鋭く察知するのもさることながら、いったん上がってきたものを落とさないことである。

定期報告に、課題や懸案として具体的な事案が書かれている。「〇〇で留まっています」「〇〇に要請中です」「〇〇からこんな要望が上がっています」――。ところが次の定期報告では、その後の話にまったく触れられていない。そして、また別の課題が報告される。普通にあることだ。

だから私は、こう突っ込むことにしていた。

「前回の報告で課題って言ってたあの案件、その後から聞きたい」

あれはどうなったのか。変化はあったのか、収まったのか。手を打ったのなら、それは効いたのか。

部下は、課題を報告した時点で一区切りついたつもりになりがちだ。目の前の仕事が次々に来るのだから、無理もない。となれば、懸案を寝かせずに追うのは課長の位置にいる者の役割である。

もっとも、一度突っ込めば次から直る――と思ったら甘い。同じ部下が、次の定例報告でも同じことをやる。そこでまた突っ込みつつ、こう言うことになる。

「これ、前回も同じ流れだよな。そろそろ前回の報告のその後を漏らさず報告できるよう、準備してこの場に臨んでほしいんだが、できるかい」

ここまで言わないと、気づかない。何が足りていないのかを具体的に示し、次はこうしてほしいと伝える。教えたつもりで済ませないというのは、こういうことである。

「なんとなくまずい」が本当にまずくなるのは、たいてい放置された時間のせいである。最初に気づいた時点では、たいした話ではなかったはずなのだ。

次章予告

ところで、その違和感はどこから来るのだろうか。同じものを見ていても、引っかかる人と引っかからない人がいる。次章では、その差がどこにあるのかを考えたい。

読者への問い

最近「なんとなくまずい」と感じた出来事に、あなたはどんな手を打っただろうか。あるいは、打たずに済ませただろうか。

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