前章の続きとして
前第83章「研修制度を使い倒す」では研修制度を使い倒すことの意義を述べた。同じ文脈で、ぜひ積極的に活用してほしいのが「資格取得支援制度」だ。
会社が受験料や教材費を負担し、取得後に報奨金が出る制度が整っている職場は多い。制度があるということは、会社から「その資格を取ってほしい」「取ったことを評価する」というメッセージでもある。これはチャンスだ。遠慮なく使い倒してほしい。
資格は「肩書き以上の武器」になる
資格取得は専門性を深めるだけでなく、上位職への扉を開く鍵にもなる。
たとえば経理部門なら日商簿記、現場系なら施工管理技士や安全衛生管理者、ドラッグストア業界なら登録販売者など、多くの業種で資格取得が奨励されている。簿記なら管理会計や原価管理の感覚が身につきマネジメントの視点が養われる。施工管理技士なら現場運営の全体像や安全配慮が理解でき、若手への指導に説得力が加わる。資格は履歴書の肩書きを超えて、実務の裏付けとなる知識と自信を与えてくれるのだ。
ただし「資格コレクター化」には注意せよ
ここで一つ注意したいことがある。どの資格を取りに行くかをしっかり考えることが重要だ。行政書士や宅建、心理カウンセラーなどは魅力的な資格は多いが、今の職場で活かせるか、将来のキャリアで活かせるかという視点で選ぼう。まずは仕事に直結する資格から挑戦するのが王道である。時間は有限である。資格の数を誇るコレクターになるのが目的ではない(趣味ということであれば別だが)。
宣言することで組織の力を借りる
会社制度を使うメリットは費用面だけではない。上司や同僚に「この資格に挑戦します」と宣言すれば応援も得られるし、積極性も感じてもらえる。自腹で独学するより、制度を通じて受けた方が格段にやりやすいのはもちろん、周囲を巻き込むことで自分を追い込む効果もある。組織の力を借りながら自分を成長させることこそ、会社員としての賢いやり方だ。
業務と無関係でも「人生に効く資格」がある
最後にもう一点。業務に直結しなくても、人生全体で効いてくる資格がある。
私自身、FP(ファイナンシャルプランナー)2級を取得したが、これは仕事とは直接関係がない。しかし親が亡くなった際の相続手続きで、この資格勉強で学んだ知識が大いに役立った。今の家計管理にも活きている。FP3級でも十分だ。お金の管理は本当に大切だからだ。すべての人に必要なノウハウである。たとえ会社の支援が受けられなくてもお勧めしたい資格である。
業務直結の資格で専門性を高め、人生に効く資格で生活の土台を作る。この2層で考えると、資格取得の意義がさらに広がる。
会社の制度で自分に投資せよ
資格取得支援制度は、会社があなたの成長に投資してくれる仕組みだ。使わない手はない。業務に直結する資格から始め、人生に効く資格も視野に入れる。組織の力を借りながら自分を成長させる。それがサラリーマンリーダーとして資格制度を使い倒す、本当の意義だ。
読者への問い
あなたの職場にある「資格取得支援制度」を使い倒していますか。まだ挑戦していない資格があるなら、まず一つ、会社の制度を使って踏み出してみてください。
このブログでは『考え方やフレームワーク』を扱っています。『明日の現場で即使えるケーススタディ』をnoteで公開しています。当ブログでこれまで語ってきた「型」や「かまえ」を実際の現場場面にあてはめた問題集として読んでいただけます。→【noteはこちら】
次章予告
コラム「勉強は「時間外労働」か「未来への投資」か」を挟んで、第7部を振り返ります。

