あなたのチームにも、中途採用で入ってきた社員が配属されたことはありませんか。最近、新卒ではない新入社員(派遣社員を含む)が増えているのではないでしょうか。
最初は「社会人経験者だから即戦力だ」と思っていたのに、しばらくするとチームメンバーから「全然戦力になりません」という声が上がって困った……。そんな経験をしたリーダーは少なくないはずです。
新卒には仕組みがあり、中途には何もない
新卒社員なら、電話対応、名刺交換、社内のテクニカルタームの意味など、初歩から教える仕組みが整っています。フレッシュマンメンターがつくことも多く、まだあどけない若手が元気に挨拶するだけで「見どころがある」と思えたりします。
一方、中途採用社員はどうでしょう。研修もメンターも同期社員もなく、すでに出来上がった人間関係の中に放り込まれる。もし自分だったら、心細くて動きづらいのは想像に難くありません。
「即戦力」という思い込みが、人材を潰す
実際、中途入社して1か月も経たないうちに、「何度も言わせるな」方式(第100章参照)の上司から「向いてないから次の職場を探したほうがいい」と言われ、泣く泣く退職に至った例を、私は知人から聞いたことがあります。
つまり「社会人経験者だから即戦力」という思い込みは危険です。放置すれば、せっかく採用した人材が辞めてしまうリスクが現実にあるのです。その素養や経験を生かして活躍してもらうにも、一定の教育は欠かせません。
中途こそ、新卒以上に「育てる」意識を
だから私は、中途採用社員が配属されたら、むしろ新卒以上に「育てる」という意識が必要だと考えています。既存メンバーには「この人は新しい環境でゼロから挑戦している」と説明し、理解を促すようにしています。
そのとき私が付け加えるのは、前章(第100章)までに書いた損得勘定です。いま手をかけておけば、半年後には戦力として返ってくる。しかも中途採用社員には、もともとの素養や経験がある。立ち上がりさえすれば、伸びは速いのです。だから最初の数か月は投資期間だと割り切る。「戦力になりません」という声には、「『まだ』でしょう」と返せばいい。実際私はそう努めている。
もし自分が中途で新しい職場に飛び込んだら、どんなリーダーにいてほしいか。そう想像しながら行動することこそが、チームを安定させ、中途社員を戦力へと育てる一番の近道です。
