第八部 人事評価と部下育成 第102章 第八部まとめ  評価と育成の原点をもう一度考える

人事評価

第八部では「人事評価」と「部下育成」をリーダーの役割の二本柱として位置づけ、その考え方と実践について述べてきた。この章では第八部を振り返る。

中間管理職は忙しい。だから面倒かつ片手間で片付けたい業務だ、と感じている方も多いと思う。しかし私はむしろ、リーダーだからこそ果たせる役割であり、もっとも重要な「本来の業務」として位置づけることの重要性を強調してきた。

人事評価とは何のためにあるのか

人事評価は、単なる「序列付け」や「査定」ではない。一人ひとりの貢献にきちんと目を向ける営みであり、その人の成長を後押しするものでもある(第86章参照)。

評価面談の本質は、「あなたを見ている」「期待している」というメッセージを伝える場にある。数字やランクも大切だが、言葉と態度で信頼関係を築くチャンスだと私は考えている。

評価の難しさと向き合う

理想的な評価とは「観察→記録→判断」のプロセスを丁寧に回すことだが、実際の職場では時間にも仕組みにも限りがある第87章参照)。その現実を踏まえたうえで、自分なりの納得解をつくる姿勢が求められる。

ここで大きな助けになるのが「課長と係長の評価観点のすり合わせ」だ(第88章参照)。評価基準を共有し、同じレンズで部下を見る習慣を持つことで、評価のブレを抑えることができる。これを通じた係長の成長も期待できる。

また、認知バイアス(初頭効果、ハロー効果、確証バイアスなど)にも意識的に対処する必要がある。「この人は本当にこうだったか?」と自問する姿勢を忘れてはならない。

育成の目的を見失わない

一方で、育成のゴールは、個人の希望をかなえることではない。組織にとって必要な人材を、必要なタイミングで育てることにある(第93章参照)。

ただし、日々の業務を通じて成長機会を与えること、評価と育成を一体で回すことが基本になる。「評価なき育成」は空回りし、「育成なき評価」は意味を失う。

実際の人材育成の場では、教わる側に責任を押し付けるのではなく、できるようにするまでが教える側の仕事だという思想を組織内で共有することが大切だ(第99章参照)。

評価と育成は車の両輪

評価制度は運用次第で形骸化もするが、育成と一体で運用すれば、大きな推進力になる。たとえば、評価項目に沿った日常的なフィードバックを意識するだけでも、部下の行動は変わる第94章参照)。成果や結果だけでなく、プロセスや関わり方にも目を向け、組織の期待を言葉にして伝えることが、育成の第一歩となる。

AI時代も上司の役割は変わらないのではないか

生成AIの普及により、育成の内容は変化していくかもしれない。しかし、自らの業務の全体像を体系的に把握し、部下からの報告や相談、提案などを大所高所から吟味し、それを通じて部下を育てていくという役割は今後も変わらないのではないか、むしろ、AIが作業を担うほど、その出力を差し戻し検証する上司の役割が重要になると私は感じている(第101章参照)。

まとめ 「人事評価」と「部下育成」をしっかり評価すべき

人事評価と人材育成を通じて、自らの率いる組織をいかに成長させていくか、について考えてきた。読者の中には「つべこべ言わせず自分の言った通りに作業を進めればそれが正解だ、育成なんてしてたら間に合わない。」という意見もあると思う。それはそれで一つの仕事の型だ。が、私は「組織とは一人ではできないことをみんなの力を合わせて実現するために作られるもの」と定義しており、去年よりも今年のチーム力がさらに成長していると言えることが組織のあるべき姿だと思う。会社にとっても短期利益より中長期的な利益の拡大が重要だと考えている。

そういう視点から、部下を駒としてではなく、一人の職業人としてその育成にエネルギーを費やしているリーダーはしっかり会社に貢献していると経営層には大いに評価してもらいたい。

同時に、それをほめられるためにやっているわけではなく、むしろその方が自らが楽になるためにやっているのだとしても、部下の育成や評価に真剣に、そして諸々工夫して取り組んでいるとの自負がある中間管理職は、みずからの評価者との面談において、ぜひそのことをしっかりアピールして欲しい。

このアピールで、この部のまとめとしたい。

《追伸》「第八部 人事評価と人材育成」について、AIに「復習用」資料を作らせましたのでダウンロードできるようにしておきます。「まとめスライドをPDFで作れますか?」と聞いただけでこんなスライドがでできてしまうのは驚きです。生成AIを使わない手はないですね。

PDF資料ダウンロード「第八章まとめ~評価も育成も、片手間の事務ではない。リーダーだからこそ果たせる、本来の業務である~」

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