第八部 人事評価と部下育成 第89章 項目が多すぎる──合理化は可能か?

人事評価

中間管理職として人事評価に取り組むとき、まず直面するのは「こんなにたくさんの項目をどう見ろというのか?」という疑問だ。項目は会社によって違ってくるとは思うが、総じて評価項目が多すぎる。しかも、それらをすべて同じ密度で観察し、適切に評価するのは現実にはほぼ不可能だ。

だが、会社の制度として決まっている以上、勝手に削ることはできないし、「手を抜いた」と思われることも避けねばならない。その結果、「評価とは手間ばかりかかる業務である」という認識が定着してしまう。

評価項目は「望ましい人材像」の指標である

しかし本来、評価とは「組織が望む行動や成果の方向性を明示する」手段だ。裏を返せば、評価項目は「どんな人材が望ましいのか」を示す指標にすぎない。そこで私は、ただ鵜呑みにするのではなく、意味のあるまとまりとして再整理し、筋道を立てて扱うことにしている。

4つの視点で整理する

私は次の4つの視点で整理している。そして大前提として、最初の「業績・結果」が評価の根幹であり、残りの3つはそれを支える要素だと位置づけている。

業績・結果(成果)

最終的にはこれが最も重要だ。会社である以上、何を成し遂げたかが評価の根幹に来なければおかしい。売上や業務目標の達成度など、成果は客観性が高く、全体を説得する力を持つ。評価とはまず成果ありき――この視点を外すわけにはいかない。

業務遂行力(成果の背景)

成果を支える力。理解力や判断力、報連相、調整力、技術力などがここに含まれる。実際の仕事ぶりを観察すれば比較的評価しやすく、成果との因果関係も見やすい。

業務姿勢(取り組みの姿勢)

積極性や責任感、規律など日常的な態度を問う。ただし「姿勢が良いのに成果が出ない」場合は、遂行力や環境との関係で捉えることが大切だ。姿勢単独で切り離すのではなく、結果や遂行力と結びつけることで評価に一貫性が生まれる。

周囲への影響(チームへの貢献)

協調性や育成、チームを前向きにする力など。他のチームメンバーへの支援やムードメイクも含む。自分の成果に加えて、他者や組織にどう波及効果を及ぼしているかを見ていく領域である。目立つ成果の陰に隠れやすいが、チーム全体の底上げに効く重要な視点だ。

整理すれば、係長との「共通のレンズ」になる

こう整理すると、項目ごとの重複が減り、評価の筋が通る。そして前章で述べた、係長と共有すべき「共通のレンズ」の具体的な中身が、まさにこの4つの視点になる。係長に部下の観察を依頼するときも、「何を見ておいてほしいか」をこの4つに沿って伝えられ、丸投げせずに済む。

「項目が多すぎて現実的ではない」という悩みは、多くの組織が共有しているはずだ。だからこそ、中間管理職には制度の中で合理性と実効性を追求する姿勢が求められる。制度を変えることは難しくても、どう使うかは工夫できる。評価を、苦痛な義務から「組織を動かす武器」へ転換できるかどうかは、私たちの姿勢にかかっている。

読者への問い

あなたは人事評価の項目をどう整理し、部下に納得感を持って説明しているだろうか。

次章予告

評価項目を整理すれば、全体像はずいぶん見えやすくなる。しかし、整理できたとしても「結局、何を根拠に評価するのか」という別の課題が残る。次章では、その根拠となる「記録」と「エピソード」について考えていく。

このブログでは『考え方やフレームワーク』を扱っています。『明日の現場で即使えるケーススタディ』をnoteで公開しています。当ブログでこれまで語ってきた「型」や「かまえ」を実際の現場場面にあてはめた問題集として読んでいただけます。→【noteはこちら】

タイトルとURLをコピーしました