第七部 リーダーの学び 第82章 概説書の通読で業務の土台づくり

学習、学び、成長

業務の全体像を把握:地図づくり

前章では仕事の学びとして、テクニカルタームと名詞の定義を知る重要性を述べた。本章では、仕事を進めるための「地図づくり」(­=業務の全体構造の把握)について述べたい。前章でもふれたとおり本来はこれが学びの一丁目一番地である。

まず手に取るべきは知識系の本。自分が携わる業務に関わる状況や制度や仕組みをまとめた概説書をまずは一冊、腰を据えて通読する。七夕にたとえるなら、最初に「笹」を立てるようなものだ。幹が見えていれば、あとは業界紙や雑誌の記事を読むたびに短冊を結ぶように、知識が枝葉として増えていく。

私自身、異動のたびに自分が携わる制度や仕組みの概説書を一冊選んで通読してきた。業種によって変わると思うので書名を特定することはできないが「この分野の全体像はこういう構造になっているのか」「この業界はこのような勢力図となっているのか」「この制度はこういうことになっているのか」と腑に落ちた瞬間に、日々の業務の断片がつながる感覚が持てた。その感覚を得るために、まず一冊通読することを習慣にしている。

小技の収集家に終わらないために

この順番を逆にしてはいけない。ノウハウ本から入ると「小技の収集家」にはなれるが、自分が取り組んでいる仕事の全体構造や組織の置かれている全体環境が見えず、断片的な知識となってしまう。

もっとも、目の前に差し迫った課題があるときは、必要に応じてノウハウを先に拾わざるを得ないこともあるだろう。前章で述べたテクニカルタームや固有名詞の理解などはその例だ。ただ、その場合でもその後は必ず概説書に戻って「地図化」すること。応急処置で終わらせず、構造に結び直すのが肝心だ。

読み切った後の整理と、意外な副産物

私の場合は概説書を読む際には、章ごとに自分なりにA4一枚にまとめていた。要点、自分のチームにの状況に引き寄せ、そして明日(あるいは当面)の取組み。この3点を書き出し、ルーズリーフに綴じておく。残しておけば概説書のアンチョコのようになり、関連する名詞や用語や最新データなどが出てきた際に関連項目のページに書き加えるなど、自分なりの備忘録として深めていくこともできる。

そして、これには意外な副産物がある。たまったルーズリーフをめくりながら復習していると、「自分はこれだけ積み上げてきた」という実感が生まれる。自己満足と言われればそれまでだが、その自己肯定感が次の学びへの原動力になる。勉強を義務として続けるより、自分が育っていく実感として続ける方が、長続きするのだ。

地図を持つリーダーは迷わない

断片的な知識を積み上げる前に、まず全体の地図を持つ。概説書の通読はその最短ルートだ。地図があれば、日々の業務で出会う新しい情報が「どこに位置づけられるのか」が見えてくる。迷わず動けるリーダーは、まず地図を持っているのだ。

章末の問い

あなたは今の業務の「地図」を持っていますか。

もし持っていないなら、まず一冊、腰を据えて読む概説書を選んでみてください。

このブログでは『考え方やフレームワーク』を扱っています。『明日の現場で即使えるケーススタディ』をnoteで公開しています。当ブログでこれまで語ってきた「型」や「かまえ」を実際の現場場面にあてはめた問題集として読んでいただけます。→【noteはこちら】

次章予告

次はコラム「知っただけで、学んだつもりになっていないか」を自戒を込めて記します。

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